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エーコとサッカー (ポスト・モダンブックス)
エーコとサッカー (ポスト・モダンブックス)
エーコとサッカー (ポスト・モダンブックス)
ピーター・トリフォナス
定価: ¥ 1,575
販売価格: ¥ 1,575
人気ランキング: 155450位
おすすめ度:
発売日: 2004-03-27
発売元: 岩波書店
発送可能時期: 通常24時間以内に発送
記号論の教科書にもなります
サッカーなんてどこが面白いんじゃろ、といつも思う。2時間もかけてホンの2点か3点しか決まらないなんてさあ。後ろの方のプレイヤーなんて歩いてるときあるじゃん。・・・なあんてこと書くとサッカーファンから罵詈雑言と必殺拳が飛んできそう。これはそういうサッカーファンに対するエーコのエッセイをもとに著者がそれを改めて記号論的に解釈しなおした本なのです。
エーコによれば、サッカーファンの行動はフロイト流の「死の本能」をなぞったもので、その点からすると戦争行為と基本的には同じなのですって。つまり「記号論的なゲリラ戦」とも解釈できるわけ。社会現象としてのサッカーファンの行動は、確かに他のスポーツファンにはあまり見られないもので、特にイタリアの場合はそれが資本や政治権力ともかなりタイトに結びついているためにいっそうコトがややこしくなるらしい。エーコはそれを笑い飛ばすがごとくに分析していて、非イタリア人は笑っちゃう。「どんなに過激であっても、日曜日のサッカーがある時にピッチを占拠しようとする革命家などいるはずはない。」エーコはそう言い切ったんだそうな。
この本のごていねいなところは記号論の基本概念や参考文献などもあとがきに詳しく記されているってことかな。だから記号論なんかどうでもっ、という人もけっこうわかった気になって読めると思います。
ところでサッカーの語源って「association football」なんだってね。これ、思いっきり皮肉よね。それから蛇足だけど著者のミドルネームは「ペリクレス」これも、なんかなあ...思わせぶり。
エーコにとっての「サッカー」の記号の意味とは
ウンベルト・エーコのサッカー・エッセイを通して「サッカー」という記号の意味を解読する著作。エーコは「私はサッカーのファンは嫌いだ」と語り、ファンとアンチ・ファンの間のディスコミュニケーションに目を向けるが、これはエーコの国イタリアのお国柄をある程度念頭に置く必要があるだろう。ファンとアンチ・ファンに分けてサッカーが語られるほどの熱狂は日本では想像が出来ないし、かつてはイタリアにとってのサッカーに等しい存在だっただろうプロ野球は今ではスポーツのone of themである。いや、イタリアでもサッカーの価値は相対的に下がっているに違いない。皆がおしゃべりに参加しうる絶対的なスポーツが存在する時代はある意味、幸福かもしれないが、今はそんな時代ではない。人々は好きなことについて好きな人と好きな時に好きなだけ語る。時々空しくなるかもしれないが、私たちは、いつも、いつまでも無責任に好きなスポーツについて語っていたいのだ。
スポーツの楽しみ方も多様化している。コンピュータゲームによる選手育成、チーム経営シミュレーションやインターネット上の果てしない「スポーツをめぐるお喋り」についてエーコがどう語るのか是非聞いてみたいと思う。
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